電気めっきについて
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めっきについて
めっきの歴史は古く、日本では”奈良の大仏”の金めっき(アマルガム法)が有名です。では、何故めっきは必要なのでしょう?
めっきには以下の効果があります。
- 素材の外観を美しくする
- 素材(鉄など)のサビ、腐食を防ぐ
- 通電性をよくする
- 磨耗しにくくする
- 摺動性(滑りやすさ)を向上させる等
電気めっきの方法(例:亜鉛めっき)
電気めっきは、以下のような反応をします。
プラス極(酸化反応)
-
Zn → Zn2++ 2e
(亜鉛の溶解)
-
2OH– → H2O + 2e + O2 ↑
(酸素ガス発生)
マイナス極(還元反応)
-
Zn2++ 2e → Zn
(めっき析出)
-
2H++ 2e → H2 ↑
(水素ガス発生)
この時マイナス極で、亜鉛めっきがされます。
鉄になぜ亜鉛めっきが施されるのか
亜鉛めっきの犠牲防食
まずは、イオン化傾向という原則を説明します。
イオン化傾向とは、酸化され易さ(≒さび易さ)をあらわします。
イオン化傾向が大きい(卑)ほど、酸化されやすくなります。
これを亜鉛めっきで考えましょう。
亜鉛めっきに傷が入った場合、鉄鋼素材は剥き出しになるので、鉄が錆びるように思われますが、 この場合、亜鉛めっきが錆びるだけで、鉄は錆びません。
これは、錆びやすい亜鉛めっきが鉄よりも早く錆びることで、鉄が錆びるのを防いでいるのです。
これを犠牲防食といいます。
鉄のさびを防ぐために亜鉛めっきを施します。
めっき前処理について
基本的な前処理工程
-
脱脂
- 浸漬
- 振動
- エアブロー
- 電解
- 超音波
- スプレー
-
水洗
-
酸洗
- 浸漬
- 電解
-
水洗
-
電解洗浄
- 陽極
- 陰極
- PR
-
水洗
-
中和(活性化)
- 浸漬
-
水洗
-
めっき
各処理工程の目的と作用
工種 | 冷間領域 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
脱脂 | 脱錆 | 脱スケール | 脱スマット | 脱バフカス | 活性化 | |
脱脂 | ||||||
酸洗 | ||||||
電解洗浄 | ||||||
中和(活性化) |
目的性能(優 <<<< 劣)
各処理工程の目的と作用
-
洗浄前
-
脱脂
脱脂により、ほとんどの付着油が除去される。
-
酸洗
酸洗により、スケールのほとんどが除去される。しかし、同時にスマットが発生する。 脱脂不良部分では、油分が酸の作用を阻害する。
-
陽極電解洗浄
酸洗工程で発生した酸スマットは陽極電解で除去されるが、素材表面が薄く酸化される。
-
中和(活性化)
酸化皮膜が除去され、清浄面が得られる。
しかし、2.脱脂工程で除去できなかった脱脂不良部は後工程全てを無効にしてしまう。
化成処理について
処理方法別で見ると、電気化学的に行う方法に陽極酸化、また化学的に行う方法に、 クロム酸塩処理、リン酸塩処理や化学着色法などがあります。
亜鉛めっきの化成処理
多くの場合は、後処理として目的に応じた3価クロム化成処理が施されます。亜鉛めっき鋼板は、 3価クロム化成処理によって耐食性が著しく向上するだけでなく、めっきの外観や特性も改善されます。 現在、外観の違いで大別すると、白銀色と黒色の二色があります。
3価クロム化成処理
基本的な前処理工程
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亜鉛めっき
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水洗
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活性化
-
水洗
-
3価クロム化成処理
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水洗
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仕上げ処理
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乾燥
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活性化
0.2~1%希硝酸に5秒程浸漬することにより、めっき光沢剤を除去と同時に、亜鉛表面を活性化し、正常な化成処理ができるようにします。
-
3価クロム化成処理
3価クロム塩をベースに構成された酸性溶液に浸漬し、化学反応により酸化クロム又は水酸化クロムを骨格とした皮膜を、亜鉛めっき表面に形成させます。
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仕上げ処理
必要に応じて、耐食性、外観向上、摩擦係数安定化などの機能向上を目的に処理されます。
(省略される場合もあります。)
3価クロム化成皮膜構造と防食メカニズム
3価クロム化成被膜の模式図
また、この皮膜は不働態化状態(化学的に安定な状態)になっており、腐食因子に対して影響を受けにくい特徴を持っています。 これらの相乗効果により、亜鉛めっきを強力に保護します。